高齢者になると階段の上り下りがつらい
主な原因は運動機能の低下
高齢になると階段が辛いと感じる理由は、階段の上り下りが平地を歩くよりも足の上げ下げが多く、高さも増すためです。また、上り下りの際には体重の移動があり、下半身で上半身を支える必要があります。特に階段を上る時は、上半身の重さが足にかかるため、負担が大きくなります。
「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。ロコモとは、運動器の障害により移動機能が低下した状態を指します。運動器には骨、関節、筋肉、神経が含まれ、これらが関係する病気が原因で、立つ、歩く、座るといった移動動作が低下します。
運動器の病気としては、変形性関節症、骨粗しょう症、加齢性筋肉減少症(サルコペニア)などが知られています。特に高齢者には変形性関節症が多く、膝の関節症により動きが制限されることが多いです。膝の軟骨がすり減ると痛みが生じ、階段を上るのが辛くなります。
無理をして階段を上るのは危険
高齢者の足の衰えは、加齢による活動量の低下が原因とされています。活動量が減ると筋力や体のバランスが低下し、それに伴い足腰の衰えが進みます。また、病気が絡むことも多く、その結果動きが悪くなることも考えられます。日常的な活動量の低下も筋力の衰えを引き起こし、高齢者は気づかないうちに足腰が弱っている可能性が高いです。
高齢になると、この足への負担が増すため、膝の痛みが出やすくなり、階段の上りが辛くなります。「痛みが出るかもしれない」と思うことで心理的にも階段を上るのが嫌になりますし、実際に痛みを感じると、その恐怖がさらに辛さを増します。これは加齢による足の衰えが大きく関係しています。
危険なのは、無理して階段を上ることです。バランスを崩して転落する可能性があり、骨折などの大けがにつながります。高齢になってからの階段に利用は、大変気をつかうものです。なるべく階段を減らしたり、段差をなくしたりする注意が必要です。
私たちの施設では、階段はスロープにしたり、段差を和らげたりすることで、足の悪い方でもご利用しやすい施設づくりを心掛けています。